
分析部門トピックス・・うなぎ産地判別検査に関する技術事項の発表
日本同位体分析研究所が提供している鰻産地判別検査につきまして、本年産うなぎの判別の基礎となる安定同位体比データベースに判別変動要因を加え、さらなる精度向上を行いました。
本修正は、2009年産うなぎについて、非常に重要なものであります。 2008年データをそのまま使用した場合、以下のような国産うなぎの誤判別の危険性が生じます。 日本同位体分析研究所は、2008年産うなぎの判別基礎データに加え、2009年産うなぎについても、季節・年次変動の可能性を踏まえて研究調査を行い、2009年産うなぎ用の変動値を加味したデータベースの更新及び判別手順の最適化を行いました。 この結果、判別分析においても、適切な判定が行われます。
うなぎ産地判別検査に関する発表・・重要
2009年産うなぎに関する窒素安定同位体比の変動と判別検査における対応(2009年産国産養殖うなぎにおいて発見された2008年産うなぎと比較して大幅に低い窒素安定同位体比を示すうなぎの研究及び産地判別用基礎データの最適化について)
日本同位体分析研究所は、2008年より鰻の産地判別検査を提供して参りました。 この産地判別検査の基礎は、中国産・台湾産、国産のそれぞれ素性の明確なうなぎサンプルについて、生・蒲焼きに関する安定同位体比分析を行い、産地判別用の基礎データベースを構築し、検査対象のうなぎ(蒲焼き)検体の安定同位体比分析値を判別分析と呼ばれる統計手法で輸入・国産として判別するものです。
うなぎ産地判別の技術解説においては、炭素、窒素、酸素安定同位体比の変動の要因、そして輸入・国産うなぎがどのような傾向を示すかについて記載しています。
うなぎ産地判別検査解説はこちら
そして判別基礎データである標準サンプルは、2008年産うなぎであり、国内の主要産地である愛知三河、静岡、三重、宮崎、鹿児島、徳島等より収集されました。
これらのうなぎの分析の結果、国産養殖うなぎについては、輸入うなぎよりも、高い窒素安定同位体比を示す事が示されています。
窒素安定同位体比値は、うなぎの飼料に大きく依存します。 うなぎの飼料は、魚粉を中心としたもので、高いタンパク質含有量を示します。 そして、食物連鎖と同様、動物性タンパク質を主として食するうなぎの窒素安定同位体比も高いものを示しました。 そしてその窒素安定同位体比は、魚粉の窒素安定同位体比が影響します。魚粉については、毎年の魚粉用魚の状況にも依存します。 従って、国産うなぎのように毎年毎に異なる魚粉による生育の可能性がある場合には、飼料要因によるデータ最適化が必要となります。
2009年、日本同位体分析研究所は、毎年の養殖についてのうなぎの安定同位体比の季節変動や年変動を検証する為、定期的な標準サンプルの収集と検査を実施しておりましたが、この過程及び実際の商業検査の過程において、2008年産うなぎと異なり、輸入うなぎ並の、低い窒素安定同位体比を示す「国産うなぎ」を発見しました。同時にこのうなぎは、従来とは異なる窒素、炭素、酸素安定同位体比の構成を示す事も明らかになりました。 2008年産のうなぎ安定同位体比データベースをそのまま用いた場合、この国産うなぎは、輸入うなぎと判別される可能性があります。 この点を踏まえ、日本同位体分析研究所は、静岡、愛知、九州において、2009年産うなぎについて各種サンプルの収集を行い、同時に養殖環境に関する調査を実施致しました。 この結果、2009年産うなぎについて、与えられた飼料の違いにより、2008年産と異なる窒素安定同位体比を示すうなぎが存在する事を確認致しました。
実際に、近接する同じ環境のうなぎ養殖池において、養殖条件の差が飼料のみである条件で、うなぎの窒素安定同位体比が変動している事を確認致しました。
窒素安定同位体比とは別に、このうなぎは、炭素安定同位体比についても変動を確認致しました。 一方、酸素安定同位体比については、生育環境の水に依存する為、変動はありませんでした。
これらの研究データを集積し、また各地のうなぎについての分析データを2008年データに統合した結果、日本同位体分析研究所は、2009年うなぎ産地判別について、新たなデータベース及び判別の為の統計解析手順の最適化を完了しました。この結果、2009年産うなぎの一部に見つかった低い安定同位体比うなぎについても、問題なく産地判別を実施できる事を確認致しました。
日本同位体分析研究所は、今後ともに、農産物・畜産物・水産物の季節や年次変動も組み込み、より精度の高い産地判別検査技術の開発を進めてまいります。
また2009年産国産養殖うなぎにおいて発見された低窒素安定同位体比値鰻について、その理由と判別データの修正にご協力を頂きました、各地の養鰻業者の方々、並びに飼料供給者の皆様に厚く御礼申し上げます。
株式会社日本同位体分析研究所
代表取締役 塙 美乃
分析研究部門 一同
2009年8月26日
今後の予定・・加速する技術開発
新規分析検査
産地判別検査の対象品目拡大。 栗、熊本産い草など新たな産地判別検査の開発を行いました。
技術開発
新規分野への技術開発を加速。日本同位体分析研究所において年間数千に及ぶ各種農産物のサンプル収集は、その遂行を自社にて実施しています。 素性明確なサンプルは、それ自体が新たな指標となります。 従来の安定同位体比研究に加え、新たな農産物の品質指標の研究開発を開始しました。 安定同位体比研究と複合した新技術開発に取り組みます。
認定事業
食品の付加価値を第三者証明する「おいしさ.com」と提携。 食品の付加価値の統合的証明による付加価値証明サービスにおいて、実地調査、審査、判定に関する業務提携を行いました。
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